その日、私は函館での2日間の旅程を終えて、函館空港におりました。
函館空港を19:35に出発する、日本航空の最終便となるJL588便を予約しており、既に保安検査も済ませて搭乗口で待機しておりました。
折り返し便となる飛行機が到着してお客さんが降りてきました。
清掃が終わったら搭乗開始・・と思っていたそのとき!
”整備作業のため、出発が遅れる見込みです。なお、やむを得ず欠航となる場合があります。”
というアナウンスが流れたのです。
今回は函館からの最終便が欠航になったときの空港の状況。
また、そのあと取った行動のお話です。
予約していた最終便の飛行機が急遽欠航に!
その日の19時ごろ、私は函館空港の搭乗待合室におりました。
既に折り返し便となる飛行機が到着してお客さんも降りてきており、あとは清掃作業が終わるのを待つだけ。
この日の函館→羽田のJAL最終便、JL588便はほぼ満席とあって、待合室はお土産袋を抱えた旅行客を中心とした乗客で賑わっています。
そんなところに、一本のアナウンスがかかりました。
”整備が必要な個所が見つかったため、これより整備作業を行います。そのため、出発が遅れる見込みです。なお、やむを得ず欠航となる場合がございます。あらかじめご了承ください。”
何やら不穏な内容ですが、この時点では特に乗客がザワつくこともありませんでした。
「欠航になるかもしれないけど、あらかじめ了承してくださいね」と言われましても、まあ大多数の人は「まあほんとに欠航にはならんやろ」と思っているわけです。
騒いだところで整備作業が早く終わるわけでもありませんから、大人しく待ちます。
15分くらいして、ふとスマホのJALアプリを開きました。
欠 航 決 定 ! !
まだアナウンスはありませんが、JAL側では欠航が決まったようです。
同じようにアプリを見て気付いた人でしょうか、待合室がにわかにザワつき始めます。
ほどなくして、アナウンスが入りました。
”整備作業を行っておりましたが、時間を要すると見込まれるため、やむを得ず欠航することとなりました。大変ご迷惑おかけいたしますことをお詫び申し上げます。この後のお手続きにつきましては~。。。”
意外とあっさり、欠航が決まってしまいました。
整備の方が見た瞬間に、「あ~これはアカンわ。すぐには無理やね。」という結論に至ったのでしょうか。
そのあと知ったところによると、飛行機のどこかでオイル漏れがあったというような話が耳に入りました。
何にせよ、これは最終便です。これが飛ばないということは、帰れないということを意味するわけで、急ぎ諸々の手配をしなくてはいけなくなりました。
飛行機が欠航!そのとき取り得る選択肢
①自社便に振り替える
まず第一の選択肢となるのが、「当日中の自社便(同じ航空会社の飛行機)への振替」です。
航空会社事由(機材繰りや機材故障)か天候事由かにかかわらず、基本的に自社便振替は受けてもらえます。
また、FSC*1やLCC*2の区別なく、第一の選択肢になります。
また飛行機の欠航には「前もって決定している場合」と「急遽決まる場合」があります。
天候や機材繰りの関係であらかじめ欠航が決まっている場合は、WEBサイトやスマホアプリ上で振替手続きを完結できる場合も多いです。
反対に、今回のように出発直前で急遽欠航となった場合は、電話や空港カウンター等で振替手配が必要になる場合もあります。
②他社便に振り替える
他社便への振替は、基本的に航空会社事由(機材故障や機材繰り、収支減便等)の場合のみに受け付けてもらえます。
また、LCCでは基本的に他社便振替は行っていません。
なお航空業界には「連帯運送契約」というものがあり、振替先として選択できるのは、利用予定だった航空会社がこの契約を結んでいる先の航空会社のみとなります。
日本航空(JAL)が連帯運送契約を結んでいる航空会社
- 全日本空輸(ANA)
全日本空輸(ANA)が連帯運送契約を結んでいる航空会社
- 日本航空(JAL)
- AIR DO(ADO)
- ソラシドエア(SNJ)
- スターフライヤー(SFJ)
- IBEXエアラインズ(IBX)
- オリエンタルエアブリッジ(ORC)
現実的には、連帯運送契約を結んでいない会社を振替先とすることもできる場合がありますが、その場合は「自分で手配・購入し、差額を精算」とります。
③宿泊施設に一泊し、翌日の便に振り替える
既に自社・他社ともにほかの便の運航が無い夜の時間帯等は、やむを得ず翌日の便へ振り替えるしかありません。
その場合は必然的に宿泊施設に一泊することになりますが、航空会社事由か天候事由かによって、宿泊費用の負担先が変わります。
機材故障や機材繰りといった航空会社事由の場合は、航空会社が約款で定める範囲の中で、航空会社が宿泊費用を負担します。場合によっては、航空会社がホテルを手配してくれることもあります。
天候事由の場合は、基本的に利用者側が宿泊費用を負担することになります。
今回の欠航、その後の行動
今回の欠航は”機材故障”によるものでしたので、「航空会社事由による欠航」となります。
函館からの最終便はJALとANAがほぼ同時刻に出発しますので、既に自社、他社ともに当日中の振替は不可能でした。よって、航空会社による費用負担で一泊することになりました。
そして、やらなければならないことが3つありました。
①翌日の仕事の手配
これはまあ、個人的な都合に過ぎません。
最終便で帰宅して翌日仕事、という余裕のない旅程を組む方も悪いのですが、物理的に帰れないものはもうどうしようもありません。
欠航と分かっていの一番に、関係者に連絡して翌日の都合を付けました。
②翌日の振替便の手配
アナウンスでも”明日の振替便の手配については、ご自身でインターネット上から~”と仰っています。
この後カウンターに行ってできないこともないでしょうが、もう人員も限られているであろう本来は最終便が出発する間際の時間帯、混乱するのは目に見えています。
さっさとアプリから振替便を手配してしまいます。
☆JALの場合の振替便手配手順をご紹介します☆
(他社便振替の場合も基本的に同じ手順で手配できます)
①WEBサイトやアプリで片道の航空券を検索し、「フレックス(一番高い運賃)」を選択する
②内容を確認する
③「予約のみする」を選択する
「予約のみする」を選ぶと、支払いは発生しませんが、航空会社側に予約データは飛んでいる状態になります。
④翌日、空港カウンターへ行って振替を申し出る
カウンターで予約データを提示し、「昨日の便が欠航になったので、振り替えて欲しい」と申告します。
航空会社側のデータベースで、本来昨日の便に乗るはずだった乗客であることは把握できますから、新しく予約したデータに基づいて、有効な搭乗券を発行してもらえます。
自社便が満席だったり時間の都合で他社便振替とする場合は、まず本来利用予定だった航空会社のカウンターで「他社便振替」の旨を申告して証明を貰い、、そのあと振替先の航空会社のカウンターで予約データを提示し、「振替利用」の旨を申告する流れになります。
③宿泊施設の手配
今回は「最終便が航空会社事由で欠航した」状態ですから、どう考えても宿泊代金は航空会社負担になります。
仕事の連絡と振替便の手配を早々に済ませ、手っ取り早く「楽天トラベル」で函館市内のホテルを検索します。
何か所かをピックアップした状態で、「いくらまで負担してくれるのか」という情報を待ちます。
やがて”宿泊代金は1万5000円、市内までの交通費は5000円を上限に負担します”というアナウンスが流れました。
その瞬間、函館市内でも人気上位の「函館国際ホテル」を厚かましくも朝食付きで即予約しました。笑
ここまで諸々の手配を済ませてしまえば、あとはもう”航空会社のお金でもう一泊遊べるドン!”状態です。
その後の流れ
最終便が欠航ということでもうちょっと阿鼻叫喚になるかと思いきや、意外と皆さん落ち着いています。
”カスハラ対策”が話題になっている昨今、喚いたところでどうにかなる訳でもない話で職員を取り囲むような真似をする人も、多少は減っているのでしょうか。
特別ルートで制限エリア外へ
飛行機に乗れないことが決まった以上、空港の外へ出るしかありません。
グランドスタッフさんの引率で、改札口を素通りし、到着ロビーの動線に直結する秘密の扉から外へ出されました。
その途中で「国内線JAL立替費用精算のご案内」という用紙を配っているスタッフの方がいました。
この方もまあまあ質問攻めにあっていましたので、用紙に関する説明は特になく、”持ってけドロボウ”状態にありました。
まあ、書いてあることを読めばだいたいは分かりますね。
タクシーに乗って市内へ
1階カウンター前まで降りてきました。
この時点で時刻は20時を回ったころでした。
カウンターではギャアギャアと喚き立てているオジサンの姿が見えます。
急な欠航で腹立たしい気持ちは理解しますが、ここで喚いていれば東京に帰れるわけでもなんでもありません。
抵抗できない相手に対して威圧する人間ほど滑稽なものはないと思っています。
「航空会社事由による欠航」というこちらにとって有利なカードがあるのですから、種々の交渉なんていうのは翌日にカウンターでも電話でも、ゆっくり理路整然とやれば良いのです。
さっさとホテルへ移動して寝た方が身のためだと思いましたので、私は「交通費は5000円まで負担」という言質を手に、タクシー乗り場へ向かいました。
ここまで我ながら素早く行動できましたので、タクシープールの先頭に立つことができましたが、数分もすると後ろに行列ができました。
これを捌くのにどれくらいの時間がかかるのかな。。と思いながら5分ほど待っていると、1台目の空車のタクシーが到着しました。
どのみちここに並んでいる人は十中八九市内行きですから、「函館駅までの方!」と同乗者を3人募って、タクシーに乗り込みました。
函館空港から函館駅までのタクシー代は3,500円くらいだったと記憶しています。
最終的に航空会社へ立替請求するので、私がまとめて支払ってタクシーを降りました。
タクシーの列はやはりなかなか捌けず、臨時の連絡バスも手配されたものの、最後の方が空港を出たのは22時を過ぎていたそうです。
こういう時は一秒でも早い行動が明暗を分けます。
函館国際ホテルにチェックイン
急遽予約しておいた函館国際ホテルに21時前に到着、チェックイン。
今回の函館旅行は”函館国際ホテル”か”センチュリーマリーナ函館”のどちらに泊まるか迷って後者を選んだ経緯があったので、思わぬきっかけでこちらにも泊まれてしまいました。
空港で振替手続き、立替費用の精算
翌日はさすがに、最終便ではなくお昼の便を手配しました。
函館駅から空港連絡バスに乗って、函館空港へ。
JALのカウンターへ行ってみると、昨日の喧騒が嘘のような静けさです。
聞くところでは、昨日欠航を食らったみなさんはほぼ朝一便に振り替えたらしく、朝は大行列になってまあまあ混乱していたそうです。
振替の旨を伝えて搭乗券発行してもらったところ、「立替費用はこの場で現金精算いたしましょうか?」と提案してくれました。
現金精算という選択肢が公式なのかは分かりませんが、わざわざ面倒な書類のやり取りをする理由は一切ないので、ありがたくその場で各領収証を提出して精算していただきました。
申請書を郵送して手続きした方に話を聞くと、1か月以上経ってまだ振り込まれていないそうな。。
☆当日、精算していただいた立替費用☆
- 前夜の函館空港~函館駅のタクシー代
- 函館国際ホテルの宿泊料金
- この日の函館駅~函館空港のバス代
- 前日に函館空港の券売機で購入した京急線「羽田空港~品川」のきっぷ代
(当日のみ有効で払い戻しは京急の窓口のみのため、紙切れになってしまった)
前夜にもらった用紙の中で「これは航空会社が負担します」と明記されている費用に該当しないものもありますが、”欠航や遅延が起きなければ発生しなかった費用”は補償してもらうという前提で交渉すると良いと思います。
交渉するときは何よりも、理路整然と穏やかに話すこと。
航空会社のスタッフさんだって人間です。ブチギレをかましてくるような客相手では、出すものも出したくなくなるのが人情というもの。
今度こそ羽田空港へ!
振替便は14:45発のJL586便。
今度は無事定刻に出発し、快晴の空を羽田空港へ帰ることができました。
前夜の588便はほぼ満員だったため、朝一便だけでは振り替えきれないだろうと思ったのですが、意外とこの便は空いていました。
一日遅れで羽田空港に到着し、家路についたのでした。
というお話でした。 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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